交通事故用語集
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- 赤い本
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読み方あかいほん意味財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」のこと。東京地方裁判所の交通部の基準を公表するという意義を有し、参考になる判例を掲載している。上巻の基準編、下巻の講演録編のセットで、毎年2月に改訂版を発行している。 交通事故の損害賠償額算定基準が整備される前の昭和40年代に「交通戦争」といわれ,交通事故が大変多くなり,裁判所での交通事故事件数も増加の一途をたどったため、裁判所が対外的に基準を示すことになった。
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- アジャスター
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読み方あじゃすたー意味自動車事故が起きた際、損害保険会社から委託を受けて自動車の損傷状態を調査し、車両の修理内容や修理費について調査をして損害額の認定を行う業務を行う者。
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- イエローブック
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読み方いえろーぶっく意味財団法人日本自動車査定協会が発行する「中古車価格ガイドブック」のこと。
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- 異議申立て
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読み方いぎもうしたて意味保険料率算出機構による後遺障害の等級認定結果に対して、被害者がこれに納得できない場合に、異議を申し立てることができる制度。
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- 慰謝料
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読み方いしゃりょう意味交通事故で、被害者が負った精神的苦痛に対する損害賠償金のこと。 傷害慰謝料(入通院慰謝料)とは、傷害を受けたことにより入院・通院を余儀なくされたことについての慰謝料。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残存したことによる精神的な損害。 死亡慰謝料とは、死亡した本人が生命を失ったことによる精神的な損害。
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- 一括払い請求
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読み方いっかつばらいせいきゅう意味加害者が損害保険会社と任意保険(対人賠償)契約を締結している場合に、その任意保険会社が窓口になって自賠責保険の支払分もまとめて被害者に支払う制度をいう。
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- 逸失利益
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読み方いっしつりれき意味交通事故による傷害の治療が終わっても残存する後遺障害のために十分稼働をすることができず、収入が減ったりして、本来であれば得られたはずの収入が得られなくなる場合に、事故に遭わなければ本来得られたであろう利益のこと。 死亡事故の場合は,「基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」、②後遺障害が残る場合は、「基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という式で計算する。 得べかりし利益ともいう。
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- 因果関係
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読み方いんがかんけい意味当該交通事故がなければ被害者に損害が生じなかったという関係。不法行為が成立するためには、単なる条件関係(あれなけば、これなし。)では足りず、相当因果関係が必要である。
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- 内払金制度
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読み方うちばらいきんせいど意味交通事故による傷害の治療が長引いている場合などで、既に発生した治療費や休業損害額が10万円以上となった場合に、被害者又は加害者が自賠責保険会社に対して、治療の途中でも保険金の請求をすることができる制度。 仮渡金制度と異なり、自賠法が定めた制度ではなく、保険会社が加害者や被害者の便益のために設けたもの。 内払いの額は、請求時点での損害額が10万円以上であれば、その損害額全額が傷害による損害の保険金額(120万円)に達するまで支払われる。
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- 運行
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読み方うんこう意味 自動車を当該装置の使い方に従って用いること。自賠法の運行供用者責任が認められるためには、「運行によって」被害が発生している必要があり、運行と被害の間に相当因果関係が必要とされている。
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- 運行供用者
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読み方うんこうきょうようしゃ意味自動車を事実上支配し、または自動車の運行によって利益を得る者。 自動車の所有者はもちろん、所有者から借りている者、レンタカーの営業主も運行供用者にあたる。自動車の運行による人身事故では、自賠法により「自己のために自動車を運行の用に供する者」すなわち「運行供用者」が損害賠償責任を負う。
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- 運行供用者責任(自賠法3条)
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読み方うんこうきょうようしゃせきにん意味 自動車の運行によって他人の生命又は身体を侵害し これによって損害が発生した場合に、運行供用者が負担する賠償責任。運行供用者がこの責任を負うのは、他人の死傷による場合に限られている。運行供用者責任は、通常の不法行為責任と異なり、被害者側が加害者の故意又は過失を立証する必要はない。 運行供用者が責任を免れるためには、①自己又は運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、③自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明しなければならない。
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- 運行支配
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読み方うんこうしはい意味自動車の運行を事実上支配、管理することができ、社会通念上自動車の運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場のこと。
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- ADR
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読み方エイ・ディ・アール意味ADRとは、Alternative Dispute Resolution の略称で、裁判によらない紛争解決処理のこと。行政機関、民間機関による和解、あっ旋、仲裁及び民事調停・家事調停、訴訟上の和解などをいう。交通事故の分野では、財団法人交通事故紛争処理センターの行う「和解あっせん」や、団法人日弁連交通事故相談センターの行う「示談あっせん」などが、これにあたる。
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- MRI
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読み方エム・アール・アイ意味磁気を利用して人体に磁場をかけて体内を縦横に撮影し、病巣を観察する検査。 単純レントゲン(XP)は骨折や脱臼には適しているが、椎間板の損傷具合、神経の圧迫状況のような人体の柔らかい部分を十分に撮影することができないが、MRIではそれが可能。頚椎捻挫、腰椎捻挫などにおける後遺障害の認定には、MRI画像が必須。 MRI画像では、白と黒のコントラストが異なるT1強調画像とT2強調画像の2種類の画像で判断する。T1画像では、脂肪が白色、水・骨が黒色に写る。T2画像では、脂肪・水が白色、骨が黒色に写る。 撮影方向に応じて、矢状断、冠状断、横断(水平断)がある。矢状断は、身体に対して、矢を前から後ろに貫いた方向、つまり身体を左と右に分けた画像を指す。 冠状断は、身体の全面と後面の前後で身体を分けた画像を指す。 横断(水平断)は、いわゆる輪切りで、身体を水平にスライスした画像を指す