交通事故用語集

  • 買替差額費
    読み方かいかえさがくひ
    意味全損もしくは車体のフレームなどに重大な損傷をうけた場合において、社会通念上買換もやむを得ないと考えられる場合には、事故時の時価相当額と、売却代金の差額が、損害として賠償の対象となる。この差額が買換差額である。
  • 外貌醜状
    読み方がいぼうしゅうじょう
    意味頭部、頭面部、頚部に傷痕が残った症状。
  • 加害者請求
    読み方かがいしゃせいきゅう
    意味加害者は、被害者に支払済みの損害賠信額を限度として、自賠責保険に対し、保険金を請求することができるが、この請求を加害者請求(15条請求)という。
  • 家事従事者
    読み方かじじゅうじしゃ
    意味いわゆる専業主婦など、もっぱら家事に従事して給与などの所得のない人のこと。 家事労働をしている主婦であっても家事ができなくなることによる損害はあるという考え方に立ち、家事従事者の休業損害は認められている。
  • 過失相殺
    読み方かしつそうさい
    意味交通事故の加害者だけでなく被害者にも過失がある場合、その割合だけ損害額から減額されること。
  • 過失割合
    読み方かしつわりあい
    意味交通事故における加害者と被害者の過失の度合いを割合で表したもの。
  • 過剰診療
    読み方かじょうしんりょう
    意味損害賠償として認められる治療費は、必要かつ相当な実費とされており、医学的な必要性・相当性がない場合には、過剰診療、高額診療として、損害賠償として認められないことがある。
  • 加重障害
    読み方かちょうしょうがい
    意味既に後遺障害を抱えている被害者が、事故によって症状をさらに重くする障害を害と同一部位の障害である必要があり、かつ、等級が加重される場合に限られる。加重障害の賠償額は、新たに認定された後遺障害の賠償額から、既に抱えている後遺障害の賠償額を指し引いた金額である。
  • 仮払金
    読み方かりばらいきん
    意味交通事故に遭うと、被害者は、治療費がかかるだけでなく、仕事を休む必要があるなど、経済的に不安に感じることがある。被害者が、当座の出費にあてるために、診断書等を添えて自賠責保険会社に対して、仮渡金の請求をすることができる制度をいう。自賠法17条によって認められている制度である。
  • カルテ
    読み方かるて
    意味患者の情報や診療の経過を記録したもの。正式には「診療録」と呼ばれる。法律には,医師は患者を診療した場合に必ずカルテをつけなければならないこと(医師法第24条1項),カルテには5年間の保管義務があること(同条2項)等が定められている。交通事故によるケガの場合は,初診時の受傷内容,診察・診断内容,診療経過,処方薬や施術の指示内容等の記載があるので、カルテの開示を受けることにより,診断書や診療報酬明細書に記載された傷病名,残存症状,治療の詳細などについて確認することができる。
  • 間接損害
    読み方かんせつそんがい
    意味交通事故により被害者に直接生じた損害から派生して、被害者や第三者に波及した二次的な損害。例えば、交通事故によって企業の代表者や従業員が傷害を受け 就労が出来なくなったため会社の売上が減少するなどの被害を受けた場合の損害(企業損害)。
  • 基礎収入
    読み方きそしゅうにゅう
    意味休業損害や逸失利益の算定の基礎となる収入。給与所得者の場合は事故前の収入、自営業者の場合は申告所得、家事従事者の場合、賃金センサスを基礎にする。
  • 休業損害(休損)
    読み方きゅうぎょうそんがい
    意味自動車事故によって傷害を負い、休業したことにより収入が減少した場合または収入は減少していないが有給休暇を使用した場合に発生する損害。
  • 休車損
    読み方きゅうしゃそん
    意味事故車両が営業用車両の場合、修理や買換えのために当該営業用車両を使用できず、営業利益が失われることがあるが、その営業車両が稼働していれば得られたであろう営業利益のこと。原則として、緑ナンバーの営業車について発生する。
  • 共同不法行為
    読み方きょうどうふほうこうい
    意味2台以上の車両が関与する事故により第三者に損害を与えた場合、各車両運転者は、第三者に生じた損害の全部を連帯して賠償する責任があること。根拠条文は719条1項前段。
  • 寄与度減額
    読み方きよどげんがく
    意味交通事故の被害者の損害に被害者自身の交通事故以外の要因が関係している場合に、損害に対する「寄与」があるものと判断し、その「寄与度」がどの程度と判断し、損害額から減額されること。
  • 経済的全損
    読み方けいざいてきぜんそん
    意味修理費が自動車の時価額に買い換えの費用を加えた価格を上回る場合。 この場合は、修理が可能でも時価額等の価格を賠償すれば足りるというのが判例の考え。中古車市場で、同種、同等の自動車を入手することができれば、被害者の原状回復はなされると考えられている。
  • 頸椎捻挫
    読み方けいついねんざ
    意味交通事故などで頸部に不意に衝撃を受け、頸椎(頚の骨)周囲の筋肉や靱帯、神経や血管などの組織に損傷を受けたもの。いわゆるむち打ち症であり、追突されて、頭が激しく前後に動いたときなどに、首の軟部組織などが損傷する場合である。 首の痛みなどの他、ひどいときは頭痛、肩こり、吐き気、めまいなどがみられる。 一般的には,初期段階では安静にし,その後は局部固定,薬物療法や温熱療法が行われる。「むちうち損傷」には,他に「バレ・リュー症候群」と呼ばれるものや,「神経根症」と呼ばれるものがあり,それぞれ治療方法が異なる。
  • 後遺障害
    読み方こういしょうがい
    意味交通事故の被害者は入通院によって医師の治療を受け、事故による傷害の回復を図ります。しかし、医師による治療を受けても完全には治癒せず、身体に一定の器質的・機能的障害等が残存する場合があります。これが後遺障害である。 後遺障害には、1級から14級までの等級があり、等級に応じて、労働能力喪失率や後遺障害慰謝料が定められており、損害賠償額に影響する。 後遺障害が確定した時点を症状固定という。
  • 後遺障害診断書
    読み方こういしょうがいしんだんしょ
    意味後遺障害の症状について作成される診断書。
  • 後遺障害の等級認定
    読み方こういしょうがいとうきゅうにんてい
    意味後遺障害等級表に従って等級を認定することす。自賠責保険では、自賠責保険会社が保険金額を決定するが、被害者の公平な救済を図るため、損害保険料率算出機構の内部組織である自賠責調査事務所が等級認定を取り扱う。等級認定は、労災補償を行う際に用いられる「障害認定基準」に準じて認定される。 等級認定を受けるためには、まずは医師に自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書を書いてもらう必要がある。一括請求の場合は、任意保険会社から、調査事務所に対して「事前認定」の申請がされる。等級認定の結果は、任意保険会社を経由して被害者の方に送付される。被害者請求の場合は、自賠責保険会社から、認定等級の通知が送付される。
  • 好意同乗(無償同乗)
    読み方こういどうじょう
    意味車両を運転している人が、好意で(無償で)他人を同乗させ(これを好意同乗、無償同乗といいます。)、その同乗者に怪我をさせてしまった場合に、その同乗者は運転手に対して損害額全額の賠償を求めることができるという問題。 現在では、無償で乗ったことだけを理由として減額されることはなく、同乗する際に、運転手が危険な運転をすることを助長、誘発したような場合に限って、過失相殺の法意を類推するなどして減額すべきと考えられている。
  • 高次脳機能障害
    読み方こうじのうきのうしょうがい
    意味高次脳機能とは、知識に基づいて行動を計画し、実行する精神活動のことをいう。知覚、注意、学習、記憶、概念形成、推論、判断、言語活動及び抽象的思考などが含まれる。この機能に障害が生じる「高次脳機能障害」とは、主に脳の損傷によって起こされる様々な神経心理学的症状を指す。特に、交通事故で頭部に大きなダメージを受けた被害者は、脳挫傷や外傷性血腫などの局在性脳損傷だけでなく、必ずしも画像上に表れない「びまん性脳損傷(びまん性軸索損傷など)」を伴うことがある。「脳外傷による高次脳機能障害」は、脳卒中などの局在性脳損傷から生じる失行、失認、失語といった大脳巣症状とは違い、おもむきが異なります。記憶や注意の障害、集中力や判断力の低下、人格・性格の変化、情緒や行動の障害など、認知症に似た精神障害が見られます。本人が症状を自覚していないこともあり、専門家でも見過ごしやすい障害である。臭いが嗅ぎ分けられない、頻尿、半身麻痺、難聴、外傷性てんかんなどの症状が見られる場合には、「高次脳機能障害」も伴う障害の表れ方は多種多様で、後遺障害の程度のとらえ方が問題になるケースが多いようである。 交通事故により高次脳機能障害といえるためには、CTやMRI等の画像所見や、「後遺障害診断書」、「頭部外傷後の意識障害についての所見」、「医師の意見書」、「各種神経心理学的検査結果」等の資料を基に,自賠責保険において高次脳機能障害の後遺障害等級認定を受けることが重要である。同認定については、平成23年4月より、自賠責保険の高次脳機能障害認定システムが充実され、特定事案として高次脳機能障害審査会にて判断する運用が開始されている。症状に応じて、1~3級、5級、7級、あるいは9級が認定される可能性がある。
  • 交通事故証明書
    読み方こうつうじこしょうめいしょ
    意味交通事故の発生日時・場所、当事者の氏名・住所、事故車の登録番号(ナンバープレート)、事故類型などが記載された文書。記載の交通事故が発生したことを証明する書類。交通事故として警察に届け出られた内容に基づき、自動車安全運転センターが発行する。
  • 交通事故紛争処理センター
    読み方こうつうじこふんそうしょりせんたー
    意味交通事故の紛争の適正な処理と公共の福祉を目的として、昭和53年に設立された公益財団法人。自動車事故に伴う損害賠償の紛争を解決するため、弁護士による無料相談、示談のあっせん、大学教授・裁判官経験者・弁護士によって構成される審査会による審査(裁定)を無料で行っている。被害者は裁定には拘束されないが、被害者が裁定に同意した場合には、相手方となった保険会社等は審査会の裁定を尊重することになっている。紛セという。
  • 告知義務違反
    読み方こくちぎむいはん
    意味保険契約に際しては、具体的な職業・職務、同様の契約加入の有無、過去の保険金請求、受領の有無などを告知しなければならず、この告知義務に違反すること。告知義務に違反して、知っている事実を告げず又は不実のことを告げたときには、保険契約が解除され、既に払い込まれた保険料も返還されないおそれがある。